ビタミンB1は体と脳に元気を作る大切な役割があります。慢性的な不足は恐ろしい病気を招くこともありますので、普段から意識的に摂取するようにしましょう。
ビタミンB1の働き
ビタミンB1には大きくわけて2種類の効果があります。一つは「疲労回復」です。人が疲労感を感じるのはピルビン酸や乳酸という疲労物質が体内にとどまることで起こります。この2つは元々ブドウ糖であり、エネルギー物質であるアセチルCoAになるべきなのですが、ビタミンB1が少ないと変換しきることができなくなってしまうのです。
つまり、いくらエネルギーの元となるブドウ糖を摂取したとしても、ビタミンB1がないとしっかり変換がされず、疲れとして残ってしまうのです。ビタミンB1がしっかりと補酵素を運び、酵素が糖を燃やせばからだに元気が出るという訳です。
次の効果は「神経機能のコントロール」です。ブドウ糖は脳を動かすエネルギーとしても大きな役割を担っています。なぜなら脳のエネルギーというのはブドウ糖のみからしか作られないからです。
ビタミンB1はブドウ糖がエネルギーになることを手助けしますから、当然不足すると脳へのエネルギーが足りなくなり、機能が低下します。勉強や仕事など、頭をかなり使う作業の際には是非摂って起きたいビタミンという訳です。
不足による影響
ビタミンB1の効果のところでもお話ししたように、不足すると疲れを感じるようになるほか、イライラや集中力の低下などにつながります。元気が出ないし、最近頭がちゃんと動いていない、という場合は摂取してみると良いでしょう。
また、慢性的な不足に陥った場合はウェルニッケ脳症という病気になります。症状としては眼球の運動麻痺や意識障害などが挙げられますが、悪化すると最悪は昏睡状態になってしまう可能性もある恐ろしい病気です。
さらに重症となるとコルサコフ症と呼ばれる精神病になってしまう場合もあります。ちなみにこれはアルコールの摂取量と深い関わりがあると言われており、現在も研究が進められています。
この他にもビタミンB1の慢性的な不足は脚気という多発神経炎にも繋がる場合があります。初期症状としては食欲がなくなったり疲れやすくなったりといったもので、進行するにつれ、むくみや動悸などが起こり始めます。そして最悪は心不全といったケースにも繋がる場合があります。
過剰摂取の影響
ビタミンB1は尿から毎日排出されますので、食事から過剰摂取になるということはありません。ですので不足しないよう、普段から積極的に摂るよう心がけましょう。
ビタミンB1には体と頭、どちらの元気も整える働きがあります。もしも体がだるい、いつもイライラする、最近お酒や煙草の摂取量が多いな、という場合は意識的に摂るようにすることをオススメします。
ビタミンB1を含む食品・食材
動物性食品
食品名 | ビタミンB1 |
---|---|
豚肩肉(生) | 0.66 |
豚ロース(生) | 0.69 |
豚もも肉(生) | 0.90 |
豚ヒレ肉(生) | 0.98 |
ボンレスハム | 0.90 |
鰻(蒲焼き) | 0.75 |
鯉(生) | 0.46 |
鮒(生) | 0.55 |
イクラ | 0.42 |
鶏卵(全卵・生) | 0.43 |
単位:mg
植物性食品
食品名 | ビタミンB1 |
---|---|
玄米 | 0.41 |
白米 | 0.08 |
そば粉 | 0.46 |
ライ麦(全粉粉) | 0.47 |
小麦胚芽 | 1.82 |
いんげん豆(乾) | 0.50 |
いんげん豆(茹で) | 0.18 |
えんどう豆(乾) | 0.72 |
えんどう豆(茹で) | 0.27 |
大豆(乾) | 0.83 |
大豆(茹で) | 0.22 |
ゴマ(乾) | 0.95 |
落花生(乾) | 0.85 |
単位:mg/100g
食事摂取基準
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 推奨量(RDA) | 目安量(AI) | 耐容上限量(UL) | 推奨量(RDA) | 目安量(AI) | 耐容上限量(UL) |
0~5(月) | – | 0.1 | – | – | 0.1 | – |
6~11(月) | – | 0.2 | – | – | 0.2 | – |
1~2(歳) | 0.5 | – | – | 0.5 | – | 10 |
3~5(歳) | 0.7 | – | – | 0.7 | – | 15 |
6~7(歳) | 0.8 | – | – | 0.8 | – | 20 |
8~9(歳) | 1.0 | – | – | 0.9 | – | 25 |
10~11(歳) | 1.2 | – | – | 1.1 | – | 30 |
12~14(歳) | 1.4 | – | – | 1.3 | – | 40 |
15~17(歳) | 1.5 | – | – | 1.2 | – | 45 |
18~29(歳) | 1.4 | – | – | 1.1 | – | 45 |
30~49(歳) | 1.4 | – | – | 1.1 | – | 45 |
50~69(歳) | 1.3 | – | – | 1.0 | – | 45 |
70以上(歳) | 1.2 | – | – | 0.9 | – | 40 |
妊婦(付加量) | +0.0 | – | – | |||
妊婦(付加量)中期 | +0.1 | – | – | |||
妊婦(付加量)末期 | +0.2 | – | – | |||
授乳婦(付加量) | +0.2 | – | – |
推奨量(RA):ある性・年齢に属する人々のほとんど(97%~99%)が1日に必要量を充たすと推定される1日の摂取量。
目安量(AI):ある性・年齢に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量。(特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量。)
耐容上限量(UL):ある性・年齢に属する人々のほとんど(97%~99%)が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量。