健康を保つ、様々な物質の材料になる栄養素
コリンはイノシトールと似た働きをもち、脂肪肝や動脈硬化を防ぐ働きをします。そして体内でアセチルコリン、レシチンなどの材料になり、体内で重要な働きをします。
コリンの働き
単体でもイノシトールに似た働きで脂肪肝や動脈硬化を予防する効果をもっているコリンですが、真価が発揮されるのは体内で合成され、別の物質に変化したときです。
代表的なのは2つで、1つはアセチルコリンです。これは神経伝達物質で、血管の拡張や発汗、消化機能の促進などが作用として挙げられます。そしてアセチルコリンはアルツハイマー病や認知症と関連があるとされていて、アルツハイマー病患者は加齢などが原因でアセチルコリンが不足している状態とされています。
もう1つがレシチンで、こちらも神経や脳に関係のある物質で、副交感神経の刺激を伝え、学習や記憶、睡眠に関係があるとされています。また、レシチンは体内のすべての細胞膜を構成していて神経に関係のある働きのほかにも、エネルギー源になる、肝臓を保護して脂質の代謝を助けるなどの様々な機能を備えています。
不足による影響
コリンが不足すると脂肪肝や肝機能の低下の可能性がでてきますが、同時にコリンが変化するはずの物質の欠乏、特に代謝関連の栄養素の欠乏(ビタミンB12、葉酸、メチオニンなど)の欠乏も芋づる式で発生してしまうので注意が必要です。
過剰摂取による影響
日本ではコリンの推奨摂取量は定められておらず、アメリカでは成人男性で1日あたり550mg、成人女性で400~425mgを推奨しています。水溶性なので、余剰分は体外に排出されるため副作用は心配されていませんが、1日10g以上の摂取を継続すると汗などの代謝のときに発生する合成物から魚のような臭いがすることがあります。