糖の代謝に関わり、体を元気に、頭髪やお肌にも影響
何だか疲れる、頭髪やお肌にトラブルが、という方はビオチンが不足しているのかもしれません。糖の代謝に関わり、体を元気にしてくれるビオチンは頭髪やお肌にも影響があります。お心当たりがある方はぜひご一読ください。
ビオチンの働き
ビオチンには糖の代謝が行われる際に起こる糖新生を助ける働きがあります。人の体は炭水化物を摂取するとそれをまずブドウ糖に分解します。それを小腸が吸収し、血液によって全身に運ばれ、体を動かすエネルギーとして使われるのです。これを「糖代謝」と呼びます。
糖代謝が行われた後には、筋肉痛や疲れなどの原因となる乳酸が発生します。乳酸は肝臓に運ばれることでもう一度ブドウ糖へと変換されます。この際のプロセスは、はじめに乳酸がピルピン酸に変換されます。
その後、ピルピン酸は酵素・カルボキシラーゼの働きでオキサロ酢酸に変わります。ビオチンはこのカルボキシラーゼの働きを助ける補助酵素となります。オキサロ酢酸はその後ブドウ糖へとリサイクルされ、再度体内でエネルギーを作り出すために働きます。また、アミノ酸からもブドウ糖は作られるのですが、この際にもビオチンは補助酵素として役立ちます。
アミノ酸の代謝の役割は、ブドウ糖を作るだけではありません。たんぱく質と合成が行われることで、筋肉、皮膚、粘膜や髪の毛が作られます。つまり、ビオチンがカルボキシラーの働きを助けているからこそ、肌荒れや脱毛が防げているとも言えるのです。
また、理由はまだ詳しくはわかっていませんが、ビオチンにはアトピー性皮膚炎などの治療や皮膚トラブルの改善に有効であるという研究結果が出ています。
不足による影響
ビオチンが不足すると疲労感が蓄積し、憂鬱や無気力といった症状が出るほか、ひどい場合は吐き気や運動失調、けいれんなどを引き起こします。また、皮膚や頭髪のトラブルにも繋がるので注意が必要と言えるでしょう。特に、極端な偏食はビオチン不足になる可能性が高いです。
効果的な摂取方法として、ビタミンB1やB2、葉酸やパントテン酸といったビタミンB群を併せて摂るのが良いと言えます。また、薬や下痢などで腸内細菌のバランスが悪くなることでも起こります。
過剰摂取の影響
過剰に摂取したとしても尿として排泄されるために心配はいりません。
疲労感のない健やかな日々が送りたい、最近頭髪が気になってきた、肌荒れに悩んでいるという方は一度ビオチンを意識的に摂取してみてはいかがでしょうか?
ビオチンを含む食品・食材
動物性食品
食品名 | ビオチン |
---|---|
鶏肝臓 | 232.4 |
豚肝臓 | 79.6 |
牛肝臓 | 76.1 |
卵黄 | 65.0 |
全卵 | 25.0 |
ピータン | 15.5 |
うずら卵 | 19.3 |
単位:μg
植物性食品
食品名 | ビオチン |
---|---|
バターピーナッツ | 95.6 |
ヘーゼルナッツ(フライ) | 81.8 |
ひまわり(フライ) | 80.1 |
アーモンド(フライ) | 61.6 |
えごま(乾) | 34.6 |
カシューナッツ(フライ) | 19.0 |
糸引き納豆 | 18.2 |
湯葉(生) | 14.3 |
大豆(ゆで) | 11.1 |
乾燥しいたけ(ゆで) | 10.4 |
単位:μg/100g
食事摂取基準 (μg/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 推奨量(RDA) | 目安量(AI) | 耐容上限量(UL) | 推奨量(RDA) | 目安量(AI) | 耐容上限量(UL) |
0~5(月) | – | 4 | – | – | 4 | – |
6~11(月) | – | 10 | – | – | 10 | – |
1~2(歳) | – | 20 | – | – | 20 | – |
3~5(歳) | – | 20 | – | – | 20 | – |
6~7(歳) | – | 25 | – | – | 25 | – |
8~9(歳) | – | 30 | – | – | 30 | – |
10~11(歳) | – | 35 | – | – | 35 | – |
12~14(歳) | – | 50 | – | – | 50 | – |
15~17(歳) | – | 50 | – | – | 50 | – |
18~29(歳) | – | 50 | – | – | 50 | – |
30~49(歳) | – | 50 | – | – | 50 | – |
50~69(歳) | – | 50 | – | – | 50 | – |
70以上(歳) | – | 50 | – | – | 50 | – |
妊婦(付加量) | – | 50 | – | |||
授乳婦(付加量) | – | 50 | – |
推奨量(RA):ある性・年齢に属する人々のほとんど(97%~99%)が1日に必要量を充たすと推定される1日の摂取量。
目安量(AI):ある性・年齢に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量。(特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量。)
耐容上限量(UL):ある性・年齢に属する人々のほとんど(97%~99%)が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量。