水は健康にも美容にも良い影響を与えるということで、水をたくさん飲むように心がけているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
たしかに、水を正しい飲み方で飲むことで、デトックス効果や代謝アップ効果などを得ることができます。ですが、飲みすぎてしまうと「水中毒」という、最悪の場合は死にいたる恐ろしい中毒症状にさらされてしまうことがあります。
本来なら体に良いはずの薬やサプリメントも、用法用量を守らないとかえって体に悪影響ということがありますね。実は水も同じです。近頃妙に疲れやすかったり、原因不明の頭痛に悩まされたりと覚えがあるあなたは、ひょっとしたら要注意かもしれませんよ。
ここでは、飲み過ぎには注意が必要な”水中毒”についてみていきます。
身体に良いものでも適量がある
水は、人間が生きていく上で一番重要になってくるものです。水を飲むことでデトックス効果を得たり、血液をサラサラにして動脈硬化などの危険性を脱したりと、健康を維持していくために必要なものです。
ですが、身体に良い物であればどれだけ多くの量を摂り入れても問題ない!というわけではありません。
水以外で言えば、アンチエイジングに効果的と言われているトマトも、食べすぎてしまうと食道に悪影響を及ぼし、食道ガンの原因になることもあると言われていて、鉄分が豊富なほうれん草も食べ過ぎは腎臓結石の原因になると言われています。身体に良いものでも、食べ過ぎ・飲み過ぎは毒になってしまうことを忘れないようにしなくてはなりません。
水分が不足したときの症状
水分は人間の体内で「体液(血液)」というかたちで存在しています。水の役割は酸素や栄養を各細胞に届け、老廃物の排出をうながすという重要なものです。
そして、体液が極端に減ったり、体液中の水とナトリウムのバランスが崩れたりするとうまく働けません。
その結果、めまいや頭痛、疲労感などが引き起こされ、夏場によくみられる「熱中症」となります。急激な発汗などが原因で体液そのものが減少し、「脱水症状」を起こしています。
水を取り過ぎると
それでは、反対に水分をとりすぎるとどうなるのでしょうか。
体液中のナトリウム量はそのままで、体内の水分量だけが増えていくので、当然水分とナトリウムのバランスが崩れます。
そして、この状態が水を毎日大量に飲んでいる人に注意してほしい「水中毒(低ナトリウム血症)」と呼ばれるものです。
水中毒とは
美容や健康のために水を飲んでいる方の多くは、正しい知識をもって実行されていることと思いますが、中には1日に3リットルや4リットル以上の水を飲んでいるという方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方は、水中毒にならないように飲む水の量を見直す必要があります。
水分不足も健康や美容に害を及ぼしますが、水を大量に摂取しすぎることによっても身体に害を及ぼします。水を多量摂取することで血液が薄まってしまい、血中のナトリウム濃度が正常値以下になることを、低ナトリウム血症と言います。そして、この低ナトリウム血症がもたらす症状をきたしている状態が、水中毒です。
水中毒の症状は?
水中毒の症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 嘔吐
- 意識混濁
- 疲労感
- 注意散漫
- 呼吸困難
- 痙攣
- 昏睡状態
水を飲みすぎただけでこんなことになるなんて、とても怖いと思った方も多いのではないでしょうか。
最悪の場合に死に至ることもある水中毒ですが、防ぎ方はとても簡単です。
水中毒を防ぐには?
水ダイエットや美容のために水を飲む方は多いと思いますが、水中毒になってしまうことを防ぐために、1日に飲む水の量を2リットル程度、多くても2.5リットル程度に抑えるようにしてください。
実際に水中毒で亡くなった方のニュースがアメリカで報道されたことがありますが、その方は、トイレに行かずに1日7リットルの水を摂取したとのことでした。
- 内臓に負担をかけないように、常温の水を飲むようにする
- 1日に2リットルから2.5リットルを上限とする
- トイレを我慢しない
- 喉が渇く前に水を飲むようにする
このようなポイントに留意して、水を飲みすぎてしまうことがないようにしましょう。
また、水を飲む量を自分でセーブできるという方は問題ありませんが、喉が乾いたらとにかく飲んでしまうという方の場合は、喉が渇く前に先に水を口にするという予防法がおすすめです。
ちょっとの倦怠感や頭痛はただの体調不良ですませがちですが、自覚がないまま水中毒や水中毒によって引き起こされた「脳浮腫」が進行しているサインかもしれません。自己判断で水分をとるとさらに症状が進行し、いきなり呼吸困難やけいれんを引き起こす可能性もあります。ただの水の飲み過ぎが水中毒の原因になり、最終的には命に関わる事態になるかもしれないのです。
おわりに
健康や美容のために水をたくさん飲むのは悪いことではありません。
ですが、適切な水分量や飲み過ぎた場合のリスクについても、きちんと知っておきたいましょう。
一般的に推奨される水分摂取の目安は1日約2~3L。
食事にも水分が含まれることを考えると、飲料水として飲む量は2L程度が良いでしょう。また積極的にトイレに行くのも水中毒予防に効果的です。
身体に良いものはどれだけ飲んでも問題ないというわけではなく、やはり適量を守ることが大切になります。
身体の70%が水でできているとはいえ、その量を超えて飲んでしまうと、バランスが崩れてしまうのですね。ですが、水不足も同じくらい怖いものなので、水中毒が怖いからと水を飲むことをやめるのではなく、適量に留めるようにして過ごしていきたいですね。