飲料の知識

あなたも水マスターに!硬水と軟水を使い分ければライフスタイルが大きく変わる

ミネラル豊富で美容に効く硬水って?

私たちは日常的に水を飲んだり、料理に使ったりします。人と水は切っても切れない関係にあり、必要不可欠な存在です。水は大きく分けて軟水と硬水の2種類あります。日本の水のほとんどが軟水で、ミネラルは少ないものの飲みやすいのが特徴です。一方、硬水はカルシウム・マグネシウムなどのミネラルをたっぷり含んでいますが、一般的に飲みにくいことで知られる水です。

硬水と軟水

わかりやすく簡単に述べると、
【軟水】カルシウムとマグネシウムの含有量が比較的に少ない水
【硬水】カルシウムとマグネシウムの含有量が比較的に多い水
ということになるのですが、具体的な硬度による分類基準というのは、国の違いなどによって変わってくるようです。

・日本での一般的な分類
【軟水】硬度が100mg/L未満
【硬水】硬度が100mg/L以上

引用元:軟水と硬水の違い

料理で使い分ける

料理によって、軟水に適した食材・硬水に適した食材があるため、使い分けることで水の特性を活かした調理ができます。


水を使い分けるには、作ろうとしている料理の特徴を知る必要があります。その料理の特徴に合う水を使うことで、初めて食材本来の味を引き出すことができます。ミネラルの多い硬水も飲むだけでなく、料理にも活かせることを知ればきっと役立つでしょう。

和食

和食全般は、軟水が合います。和食の基本と言えばかつお節や昆布でとる「だし」ですが、どちらも軟水が適しています。ミネラル成分が含まれる硬水には旨味成分であるグルタミン酸やイノシン酸が溶け出しにくい上に、カルシウムやマグネシウムがアミノ酸と結合し、あくになってしまうといわれているためです。さらに、水をたっぷり使う煮物やスープは、軟水を使うと野菜への水分の浸透がよく、柔らかく仕上がり、硬水を使うと、カルシウムが食物繊維を硬くして、あくが出やすくなります。

引用元:エビアン evian

軟水の持つ食材への浸透力によって、水分に味がよく染み出すため、だしを活かした日本料理に向いています。

洋食

逆に、あくを除きたい場合、煮くずれさせたくないときに硬水を使うときれいに仕上がります。また、西洋の肉を煮込む料理には硬水が向いています。カルシウムが肉を硬くする成分と結びついてあくとして出るので、硬めの肉を煮込んだり、牛肉でだしをとりスープストックを作ったりする場合は硬水が適しています。

引用元:エビアン evian
このように、お肉を煮込みたい時や、パスタを茹でる時に適しているのが硬水です。硬水に含まれるカルシウムには、でんぷんなどの成分と結び付きやすい性質を持っており、パスタを茹でる時に硬水を用いるとパスタにコシを与えてくれます。パスタを茹でる直前に塩を入れるかと思いますが、この過程にはミネラルを加えて硬水のようにする目的があったのです。この時、一般的な食卓塩ではなく岩塩などを使用すると、より良い食感を引き出してくれます。

炊飯する時は?

硬水と軟水の差がはっきり表れるのが、ご飯です。日本人の食生活に欠かせないご飯を炊くには、日本の土地にある軟水が合います。軟水で米を研ぎ、軟水で炊き上げると、お米の細胞がきれいな網目構造になり、ふっくら粘り気のあるご飯が食べられます。硬水で炊くと、硬水に含まれるカルシウムが食物繊維を硬化しますので、炒飯やパエリア、ピラフなど、パラパラに仕上げたご飯料理には、中硬水が適しています。中国やスペインの水道水は、日本より硬度が高い場所が多く、どの国でも水に合った調理法が発達してきたことがわかります。

引用元:エビアン evian
クセがほとんどない軟水を用いた米は味わい深く、ふっくらと甘みのあるご飯になります。
ヨーロッパなどでは、水を使わない調理法が数多くあり、無加水で野菜の水分だけで煮炊きする調理法が盛んとなっています。日本のようにだしを活かした料理は作らず、お肉のコクと野菜、その水分を利用した料理が多いということになります。

飲み物

お茶やコーヒーなどの飲み物はどうでしょう?緑茶は硬度が高くなるにつれて旨味が抽出されにくく、低くなるにつれて香りが抽出されにくくなります。旨味を味わう日本茶は軟水が、香りを楽しむ中国茶や紅茶は硬水が最適です。
コーヒーには基本的には硬水が合います。硬水を使うと酸味が強く引き立ち、カルシウム成分が多いとコーヒーの苦味がやわらぎ、マグネシウム成分が多いと渋味や苦味がより強く出る傾向があります。また、焙煎が深くなると酸味が弱く苦味が強くなるため、焙煎の浅い豆には硬水を、深い豆にはより硬度が高めの水を使い分けることができます。

引用元:エビアン evian

余分なミネラルは赤ちゃんの未発達な内臓に負担をかけてしまうので、赤ちゃんのためのミルクは必ずミネラルの少ない軟水で作りましょう。また、日本人は軟水に慣れているため、ミネラル豊富な硬水を飲むことでお腹を下してしまうことがあります。硬水に慣れていない方は気を付けてください。

軟水から硬水をご紹介!

サントリー天然水


甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)に降る雨水や雪解け水が花こう岩に含まれる石英(二酸化ケイ素の結晶)によってろ過された、硬度30の軟水です。1993年から宅配事業を開始、以前はオフィスなどが中心となっていましたが、2008年に家庭でも設置できるウォーターサーバーを発売し、現在ではレンタルサービスも行っています。

六甲のおいしい水


六甲山系の花こう岩層によってろ過された硬度32の軟水です。採水地が住宅地の中と思いもよらない場所にあるため、週刊誌で記事になったこともあります。ミネラルウォーターは一般的に採水地でボトリングするのですが、六甲のおいしい水の場合、工場跡の井戸で採水しトレーラーで大和郡山市にある奈良工場まで運んで、ボトリングされていました。現在、2リットルペットボトルは2004年に建設された六甲工場で採水し、ボトリングまで一貫して生産を行っています。

エビアン


硬度304の中硬水で、世界各国で有名なブランドの一つです。エビアンはEUの厳しい基準をクリアしたナチュラルミネラルウォーターで、工場では水質とミネラル成分を変えないよう、外気に触れることなく水源から直接ボトリングを行っています。24時間体制で品質チェックをして、安全性を高めていることからフランスでは赤ちゃんのミルクにも使われています。

コントレックス


フランス・ヴォージュ県コントレクセヴィルのミネラルウォーターです。硬度が1468の硬水で、カルシウム・マグネシウムなどが豊富でサルフェート(硫酸イオン)も含んでいます。高硬度の水であるため、硬水に慣れていない人が飲んだ時お腹を下してしまうことがあります。

参考リンク

料理をおいしくするには軟水と硬水を使い分けが必要?(ピュアウォーター研究所)