飲料の知識

説明できる?料理酒と日本酒の違い

説明できる?料理酒と日本酒の違い

「調理中に料理酒を切らしてしまい、代わりに日本酒を使ってみた」そんな経験のある人、意外と多いのではないでしょうか。

「調理用」と書いてある料理酒を飲むのはなんだかためらわれますが、その逆は大丈夫そうな気がしますよね。ですが、ここでふと疑問が。紹興酒やワインのように飲用・調理用が兼用となっているお酒がある一方で、日本ではなぜ「料理酒」と「日本酒」が区別されているのでしょうか。

法律上、「料理酒」の定義はあいまい?

一般的に「日本酒」といわれる飲用のお酒は、酒税法上の「清酒」に分類されるもの。主な原料は米と米麹、そして水。これを発酵させたアルコール度数22度未満のものが「清酒(または日本酒)」と呼ばれています。
それでは料理酒はというと、実は製法や原料はほとんど一緒。ただし、市販されている料理酒のパッケージを見てみると「食塩」や「酸味料」の文字が確認できます。塩辛くて酸っぱいお酒なんてとても飲む気にならないと思いませんか?
こうやって飲みにくくする加工(=不可飲措置)をして、わざと清酒の定義から外れるように作っているのが料理酒。
これで法律上は「まずくて飲めないから飲用ではない」という解釈をされ、本来はかかるはずだった税金もかからなくなるのです。

日本酒に足りないのは「塩」と「うまみ」

法律上、料理酒より美味しいと太鼓判を押された日本酒。これを料理酒の代用にするのは全く問題がないどころか、むしろ美味しく仕上がるんじゃないかとすら思えてきます。
でも残念ながら飲むことを想定されて作った日本酒は、製造の過程でさまざまな雑味を取りのぞかれています。
この雑味は言いかえれば「うま味」ともいえるもの。そのため、日本酒を使った料理はなんとなく物足りない味になりがちです。
また、レシピに載っている「酒」はたいていの場合料理酒のことを想定していて、日本酒で代用するのなら分量外の塩を一つまみ加えるなどの工夫も必要になってきます。

「パック酒」は意外と使える!

料理酒にとってのうまみは日本酒の雑味。特に吟醸、大吟醸などの高価な日本酒は製造過程でお米をしっかり磨いて雑味を取りのぞいていますから、調理用には向きません。
逆に考えると、そこまで手をかけられていない安い日本酒にはそれなりにうまみのもとになる雑味が残っています。
日本酒としての評価と料理酒としての評価が必ずしも比例しないなんて、ちょっとおもしろいですよね。

おわりに

「料理酒」というものが売られていなかった昔の人たちは、日本酒を使って料理をしていました。
そうはいっても醸造技術レベルが違う今の日本酒とは別物と考えて良いかもしれませんね。

おそらく昔の日本酒は今のものより雑味が多く、調理にも向いていたのではないでしょうか。
せっかく安価な料理酒が売られているのにわざわざ高い清酒を料理に使うのはもったいない気がしますが、もし家に余っているのがちょっと安い紙パックの日本酒なら、一度試してみても良いかもしれませんね。

参考リンク

知ってトクする!料理酒の選び方(宝酒造株式会社)