パスタを茹でるときに水道水でそのまま茹でてしまっていませんか。実はパスタは硬水を使用することでより美味しく仕上げることができるのです。今回はパスタと硬水について紹介します。
硬水とは
水には硬水と軟水の二種類があります。カルシウムやマグネシウムの量によって「硬度」が決まります。硬度が0~60未満の場合は軟水、60~120未満の場合は中硬水、120以上だと硬水になります。
パスタを茹でるときにオススメなのは硬水です。生活に使う水がほとんど軟水の日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ヨーロッパで硬水が主流なため料理も比較的硬水の方が相性のよいものが多いといわれています。
硬水とパスタの相性
硬水がパスタと相性がいいのにはちゃんとした理由があります。パスタで歯ごたえが残り、茹で加減が良い状態のことを「アルデンテ」と一般的にはよびますが、硬水を使用してパスタを茹でるとアルデンテに仕上がりやすくなります。パスタは茹でられるときに水を吸い込みますが、その時にパスタに含まれるデンプンと硬水のカルシウムが結合することによって、パスタに適度な硬さが残り、アルデンテになります。近いものとしてパスタを茹でるときに塩を少量いれることがありますが、こちらはパスタに含まれるグルテンと塩の塩化マグネシウムが結びつくことでコシがでるため推奨されています。
両方を活用することでアルデンテに仕上がりやすくなり、美味しく食べることができます。
ラーメンやそばは軟水で
同じ麺類でもラーメンやそばの場合は軟水を使うべきとされています。ラーメンを茹でるのに向いているのはアルカリ度の低い方がいいとされていて、硬水は軟水と比べるとアルカリ度が高くなっているため、硬水を使った場合は食感があまりよくない仕上がりになってしまいます。同じような理由でそばやうどんにも軟水が相性がよく、硬水を使用して茹でるとやはり硬さがあり、食感がよくないとされています。日本の和食なら軟水、ヨーロッパなどの洋食なら硬水と料理を作るときにはその料理の発祥の地域の水質を選ぶことで美味しく仕上げることができます。
硬水と相性のいい料理
硬水との相性がいいのはヨーロッパ諸国やアメリカの硬水が多く流れている一部地域で昔から親しまれている料理です。特に肉を煮込むような料理をつくるときのは硬水が強くオススメされていて、硬水を使って時間をかけて肉を煮込むことにより、軟らかく仕上がり、肉の臭みが強い場合でも灰汁となって抜けていくとされています。他にも、ピラフやパエリアといったご飯ものにも硬水が推奨されます。
普通に炊飯するときは軟水の方がふっくらとするのですが、ピラフやパエリアに使用するご飯を炊く場合は硬水を使って炊くと、程良いぱらつき加減がうまれます。
硬水とは相性が悪い料理
硬水との相性があまりよくないといわれているのは和食などの軟水の文化圏で親しまれている料理が多いです。前述のそばやうどんなどにもあるように、仕上がりが固くなりすぎてしまったり、ダシをとるときも硬水を使うとうま味があまり溶けず、硬水のマグネシウムやカルシウムがうま味成分と結びついてしまい、灰汁が多く出てしまうなどの違いがでてきます。料理をするときはその料理の発祥になった地域やよく食べられている地域の水の硬度に近づけるといつもと仕上がりも変わり、より美味しく味わうことができます。
おわりに
今回はパスタと硬水の関係について紹介しました。普段あまり意識することはありませんが、水の硬度を変えてみると仕上がりがイマイチに感じた料理も美味しくつくることができるかもしれないので、色々試してみてはいかがでしょうか。